「朝は普通に動いてたのに、なんで Office だけ反応しなくなったんだ……?」
その日の朝8時。新しく買ったサンワダイレクトの 400-MAWBT207 を会社のPCに接続。最初はサイドホイールが動かない問題があったんですが、それも解決して、ようやく Word や Excel で普通に使えるようになった。サイドボタン(進む・戻る)も Excel でちゃんと反応する。
「これでやっと落ち着いて仕事できる」と思った、その3時間後の出来事です。
突然、Word・Excel・PowerPoint でだけ、サイドボタンが完全に無反応になりました。
おかしいのは、これが Office 系のアプリだけで起きたこと。
- ブラウザ(Chrome、Edge):サイドボタンで戻る・進むが普通に動く
- Alt + Tab(ウィンドウ切り替え):問題なし
- マウスのカーソル移動・クリック:問題なし
- Word・Excel・PowerPoint:サイドボタンだけが完全に無視される
サイドホイール問題をようやく解決した直後だっただけに、正直、最初の気持ちは「またかよ、勘弁してくれ」でした。
ここから、Gemini と一緒に11ステップの切り分けをやって、最終的にたどり着いたのが セキュリティソフト(Trend Micro Worry-Free)犯人説でした。
先にお断りしておきます。
この記事は「Trend Micro が悪い」と決めつけるものではありません。あくまで僕が会社のPC環境で経験した現象と、そこから導いた仮説の検証記録です。同じ症状で困っている方の切り分けのヒントになればと思って書きます。
検証結果から結論はこの3点!
- サンワのマウスが送る「擬似的なキー信号」が、会社で使われているセキュリティソフト(Trend Micro Worry-Free)の「振る舞い検知」に途中で引っかかった可能性が高い
- ブラウザは普通に動いていたので、Office だけがピンポイントで遮断された形
- 接続直後ではなく約3時間後に発症したのは、振る舞い検知が「一定時間の挙動を観察してから判定する」性質と辻褄が合う
まず症状を時系列で
会社のPCに新しいマウスをつないだ日の流れです。
- 朝8時頃:マウスを接続。最初はサイドホイールが動かないトラブルがあったけど、前回記事の方法で解決。そこから Word や Excel で普通に使い始めた
- 11時頃(使い始めから約3時間後):突然、Word・Excel・PowerPoint でだけ、サイドボタンが完全無反応に
- 同じ時間帯:ブラウザのサイドボタンは普通に動く。Alt + Tab も普通に動く。マウスのカーソル移動・クリックも問題なし
「全部止まった」のではなく「Office 系アプリだけが止まった」のがポイント。ハードウェアやドライバが完全に死んだなら、ブラウザでも動かないはず。でも実際は特定のアプリにだけ信号が届かない状態でした。
普通の故障とは違う。何か途中で信号がブロックされてるんじゃないか。ここから検証を始めました。
11ステップの検証記録
ここからは、Gemini と相談しながら順番に試していった検証ステップです。全部やって、全部効果なしでした。
| # | カテゴリ | 試したこと | 結果 |
|---|---|---|---|
| 1 | ハードウェア | USB レシーバーを抜いて電池も外し、1分間放置(完全放電) | 変化なし |
| 2 | ハードウェア | USB ポートを別の場所に差し替え | 変化なし |
| 3 | ハードウェア | MX Master 3S(別マウス)で動作確認 | Office でも普通に動いた |
| 4 | ドライバ | デバイスマネージャーで HID 準拠デバイスを削除 → 再認識 | 変化なし |
| 5 | ソフト | サンワ純正ソフト(SANWA SUPPLY Mouse Utility)の再インストール | 変化なし |
| 6 | レジストリ | Scancode Map を確認(キー定義の書き換えがないか) | 異常なし |
| 7 | OS設定 | 固定キー機能・簡単操作の意図しない有効化を確認 | 異常なし |
| 8 | OS | エクスプローラー(Windows シェル)の再起動 | 変化なし |
| 9 | 環境 | msconfig でクリーンブート(不要サービスを停止して起動) | Trend Micro が常駐 |
| 10 | 環境 | クリーンブート時に常駐してきた Trend Micro(Worry-Free)を確認 | Trend Micro 確認 |
| 11 | 検証 | Trend Micro は会社管理 → 個人で停止できず、切り分けはここで限界 | 個人で停止不可 |
ステップ3で MX Master 3S だけは Office でも動いたこと、ステップ9〜10でクリーンブート時に Trend Micro が常駐してきたことが、仮説に向かうヒントになりました。
ただ、正直この時の気持ちは「やったぞ!」ではなくて、「ここまでやって、最後はセキュリティソフトか…」でした。
ハード・ドライバ・OS設定を1つずつ潰してたどり着いた答えが、自分では止められない常駐ソフトだった。容疑者は絞り込めたけど、解決の道筋は見えなくなった、というのが本音です。
たどり着いた仮説は Trend Micro の「振る舞い検知」
Trend Micro Worry-Free(会社で使われているビジネス向けセキュリティソフト)には、「振る舞い検知」という機能があります。
ファイルそのものではなく「プログラムの挙動」を監視して、怪しい動きをするものを止める仕組み。たとえばマルウェアがキー入力を奪ったり、特定のアプリにキー信号を送り込んだりするのを検知して遮断する、という用途で使われます。
ここで、サンワの安価なマウスの話に戻ります。
多機能マウスのサイドボタンは、内部的には「キー信号を擬似的に送る」仕組みで「進む・戻る」を実現していることが多いんです。これ自体は普通の動作なんですが、振る舞い検知から見ると「アプリにキー信号を送り込む怪しい挙動」に見える可能性がある。
そうなると、こういう仮説が立ちます。
サンワのマウスが送る擬似信号が、最初はスルーされていた。
でも数時間の連続使用で「振る舞いパターン」が蓄積された結果、Trend Micro の判定が「これは怪しい入力だ」に切り替わって、Office アプリへの信号送信だけが狙い撃ちで遮断された。
これが、今のところ一番ありそうな仮説です。
なぜ Office だけが止まったのか?
ここが一番不思議だった。
ブラウザ(Chrome、Edge)は、OS から渡された「進む・戻る」のキー信号をそのまま受け取るシンプルな構造。一方、Office(Word、Excel、PowerPoint)は独自のショートカット処理レイヤーを持っていて、キー信号を内部で再解釈する作りになっています。
振る舞い検知は、後者の「Office に対する擬似入力」だけを「アプリの操作を奪う動き」と判定して遮断したのかもしれない。
つまり、Office が独自のキー処理を持っているから、逆に狙い撃ちされやすかった。ブラウザは素通しだから何も起きない。これが「Office だけ止まる」理由じゃないかと考えています。
なぜ3時間後だったのか?
もうひとつの謎が、最初の3時間は普通に動いてたこと。
これも振る舞い検知の性質を考えると説明がつきます。
- 振る舞い検知は、一発で「黒」と判定するのではなく、一定時間の挙動を観察してパターンを蓄積する
- 接続直後はサンプル数が少なくて判定が出ない
- 数時間使ううちに「Office に対して連続してキー信号を送る」パターンが蓄積され、ある閾値を超えたところで後出しでブロックされた
普通の故障やドライバ不具合なら、最初から動かないはず。3時間経ってから止まったっていうのも、振る舞い検知の遅延判定とつじつまが合う。
ここまではあくまで「仮説」です
もう一度書いておきます。これは仮説です。
- 僕の勤務先には そもそも情シス担当がいません。「マウスが Trend Micro と相性悪いみたいなんですが…」と相談する先もない
- Trend Micro 自体は会社全体で導入・管理されていて、個人で勝手に止めるわけにもいかない
- なので、「Trend Micro を止めたらサイドボタンが復活した」という決定的な確認まではできていない
- つまり100%の証拠じゃなくて、状況証拠から考えた一番ありそうな仮説、って感じです
ただ、
- ハード・ドライバ・OS設定はすべて異常なし
- マウスを MX Master 3S に変えれば Office でも動く
- クリーンブート時に Trend Micro の常駐が確認できた
- Office だけ止まり、ブラウザは動く
ここまで揃うと、振る舞い検知が一番怪しいと感じています。
同じ症状で困っている人にチェックしてほしいこと!
もし「会社のPCで、特定のアプリだけマウスのサイドボタンが効かない」という症状に出くわしたら、以下を順番に試してみてください。
- まず別のマウスを試す(手持ちでOK)。それで動くなら、マウスとPCの相性問題で確定
- デバイスマネージャーで「非表示のデバイスの表示」を ON にして、過去の古いマウスドライバを掃除する(前回記事の解決法、サイドホイール問題で有効)
- それでもダメなら常駐しているセキュリティソフトを確認。Trend Micro、ESET、Symantec などの「振る舞い検知」「侵入防止」系の機能が怪しい
- 情シス担当がいる会社なら、「マウスの擬似入力が振る舞い検知でブロックされている可能性がある」と伝えて相談するのが最短ルート
- 情シスがいない/個人で対処するしかない環境なら、深追いせず信号処理が安定している多機能マウス(MX Master 3S など)に乗り換えるのが現実的
最終的に MX Master 3S をメインに戻しました
僕の場合、情シス担当がいないので Trend Micro の調整も検証もできず、完全に詰んでいる状況でした。
選択肢は2つだけ。
- このまま使えないマウスで粘る
- 確実に動く MX Master 3S を会社のメイン機に戻す
決め手はシンプルで、「時間がもったいない」でした。
結局、原因は解明できないまま。使えない以上、もとの MX Master 3S に戻すしかありませんでした…
まとめ
今回のポイントを整理します。
- 症状は「会社のPCで、朝8時に使い始めて11時頃に Word・Excel・PowerPoint だけサイドボタンが効かなくなる」
- ハード・ドライバ・OS設定は全部チェック済み、すべて異常なし
- 残った最有力容疑者が Trend Micro(Worry-Free)の振る舞い検知
- ブラウザではなく Office だけが止まったのは、Office の独自ショートカット処理が振る舞い検知の対象になったから、と説明できる
- 3時間後に発症したのは、振る舞い検知の「観察→判定」のタイムラグと整合する
- 情シス担当がいない環境のため最終証明はできず、仮説止まり
- 同じ症状の人は、別マウスで切り分け → ドライバ掃除 → セキュリティソフトを疑う、の順で
- 僕は深追いせず、MX Master 3S を会社のメイン機に戻して完全解決
結局、原因は解明できないまま MX Master 3S に戻しましたが、深追いやめどきを見極められたのは今回学んだことだと思います。
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